アイデアを、アイデアで終わらせない
三井不動産レジデンシャルの開発担当部署の中には、常に「あたりまえじゃないものをつくろう」「人がやらないことをやろう」「常識的なプランだけでなく、買い手が想像しないようなプランをつくろう」という基本姿勢があります。挑戦に意欲的な土壌があったからこそ、「Imagie」は生まれたのだと思います。
自由度の高いプランや動かせるキッチンなど、アイデアだけなら、これまでも机上に上がっていたはずです。「Imagie」は、それをアイデアで終わらせず、現実のものにした。あきらめることなく、物件への導入まで実現させた。それが、今回のグッドデザイン賞の受賞につながったのだと思います。
万人向けの保守的なマンションだけでは、進化はないし、現状を打破できません。特定の人にしか喜ばれないけれど、特定の人には本当に喜ばれる。そういう尖った商品も必要だと思います。
このプロジェクトは、会社にとっても挑戦でしたが、私個人にとっても大きな挑戦でした。開発におけるすべてのフェーズに携わることができたことは大きな経験になりました。
気づきを与えられるプランが、価値観を変える
時代の変化を見通し、先駆けた住まいだけが、住む人の価値観を変えることができます。「Imagie」を見て、ああ、こういう住まい方ができるんだと気づいていただける。新しいライフスタイルを生み出すきっかけになる。そんな力を「Imagie」は秘めているのではないでしょうか。
私は、「Imagie」は分譲マンションだけでなく、賃貸マンションやサービス付き高齢者向け住宅にも合うプランだと思います。キッチンは動かせなくても、水回りをまとめて、自由に使えるスペースを広げた空間構成は、幅広く応用できるはずです。
また、バルコニーのような感覚で使える「ウェルカムポーチ」も、今後、角住戸の価値を大きく高める可能性があります。「Imagie」からウェルカムポーチだけを独立させ、別のプランに組み込む。そんな展開にも期待が持てます。
5年後、10年後、実際に住まわれた方が何度か間取り変更をし、アイデアがさまざまな形で応用された時に、改めて「Imagie」の真価は問われるべきなのかもしれません。
かつてないものを生み出すときこそ、スピード感は重要
かつてないものを生み出すときこそ、
スピード感は重要
生活スタイルが多様化している中で、間取りに暮らしをあてはめるのではなく、暮らしに空間をあてはめる、という住まい方があってもいいのではないかと考えたことが、「Imagie」開発のきっかけでした。
「キッチンが動かせると自由度は格段に上がるはず」。「玄関側にリビングを持ってくるなら、玄関側にも掃き出し窓があったほうがいい」。いろいろなアイデアが次々に出てきて、「面白いね」「でも難しいよね」というやりとりを、何度くり返したかわかりません。
ダウンライトのグルーピングも、オフィスでは導入されていますが、住まいではスイッチの「切り替え」という発想すら従来はなかったと思います。
新しいことを取り入れるには、東京消防庁の防火性能評定の承認、施工会社との折衝など時間がかかります。しかし同時に、新しいことほど、いち早く世の中にリリースしなければいけません。まさに、スピードが鍵を握るわけです。リリース後は、業界や学識者の方々からの反響が特に大きく、テレビ番組の取材も数多くありました。「Imagie」の斬新さを物語っていると言えるでしょう。
挑戦する意思こそが、我々が継承すべきDNA
今回のような先進的なプロジェクトの場合、正直に言って、時間も費用もかかります。他社では、やらせてもらえなかったかもしれません。
挑むことを恐れない、挑むことに価値をおく、それは三井不動産レジデンシャルのDNAに深く刻まれているもの。誰かが何かを思いつく、GOサインが出る、部署の垣根を越えた横割チームがつくられる、という流れがスピーディーなのも、社内に挑戦の土壌があるからです。
確かに、挑戦には苦労が伴います。勇気も必要です。しかし、企業にとっても個人にとっても、挑戦は成長のためのステップボードになります。挑戦する気概は、ぜひ受け継いでいって欲しいと考えています。
あまりにも斬新であるがゆえの、営業としての悩み
あまりにも斬新であるがゆえの、
営業としての悩み
「Imagie」を最初に見たとき、「突き抜けて斬新」だと思いました。キッチンを動かせることはもとより、廊下がない、玄関側にも掃き出し窓があり、バルコニーのように使えるウェルカムポーチがある。すべてが斬新すぎて、お客さまに魅力をどうお伝えすればいいのか悩んだことを覚えています。
営業としては、一般的な間取りが一番売りやすい、というのが本音ですが、同時に、普通のものしか提案できないのではつまらないとも思います。常に半歩先の住まいを提案し続けることは重要です。
いま、「リビ充家族」という言葉が、トレンドワードとして注目を集めています。「リビ充家族」とは「リビングを最大化し、そこで各々が充実した時間を過ごす家族の増加」を予測したもの。その流れは、まさに「Imagie」の基本的な考え方と合致していると言えます。
それは、次のスタンダードが誕生した瞬間
「Imagie」は、どんなライフスタイルにもフィットするプラン。今回のお客さまは、シングルからファミリー、シニアのご夫婦まで多岐に渡っており、狙い通りの結果だったと言えます。
日本には「間取り文化」が根強くありますし、マンションのような大きな買い物で冒険はしづらいという心理もはたらくでしょう。面白いけれど、実際に住むとなると躊躇する、というお客さまもいらっしゃいました。
しかし、世の中には、発表当時は「ありえない」と思われたものが、時を経て「あたりまえ」になったケースは多々あります。斬新さゆえに、受け入れられ人気を集めるのに時間がかかるものも数多く存在します。
「Imagie」が、一部の人にはクリティカルヒットだったことを考えると、将来、気軽に間取り変更をする暮らしや、動かせるキッチンがあたりまえになる時代が来るかもしれません。そう思わせるだけの大きな可能性が、「imagie」には確かにあります。