令和6年度版 税金の手引
37/72

11341998年(平成10年)7月建築の戸建て(木造、登記面積80㎡)を2012年(平成24年)2月に3,000万円(土地・建物一括、内訳は不明)で購入し、2024年(令和6年)6月に売却した場合の土地・建物の取得費の計算方法を教えてください。①購入価額を土地と建物の金額に区分する。1998年(平成10年)新築時の建物価額を建物の標準的な建築価額表を用いて算出し、新築時から購入時までの減価の額を計算して、購入時の建物の取得価額を求めます。その建物の取得価額を一括購入価額から差し引いた金額が土地の取得価額となります。【状況説明】a. 確実に金銭で購入又は建築したことが推定されることb. 第三者間の取引であり、取引価格又は建築価額に特別な調整要因がないと推定されることc. 交換の特例や買換えの特例等による取得でないこと(特例適用の有無は税務署に確認可能)d. 土地の場合、購入当時に市場性のある土地であると推定されることe. 土地の価格を市街地価格指数で推定する場合、そのデータが適切であると思われる地域であること上記のような証明資料と購入時の状況を証明する書類に加え、下記データにより当時の土地、建築価額を推定し、検証します。 ただし、これらの指数は、あくまで購入当時の価額推定のためのデータで、個々の土地・建物価額を直接証明する数字ではありません。【客観的データ】(イ)土地一般財団法人日本不動産研究所が公表している「市街地価格指数」を基にして、土地の売却価格に指数の割合を乗ずることにより購入当時の価格を推定する方法です。(ロ)建物「建物の標準的な建築価額表」(国土交通省のデータを基に国税庁が作成)を基にして、購入当時の建築価額を推定する方法です。新築時の建物の建築価額新築時から取得日までの減価の額購入時の建物の取得価額購入時の土地の取得価額②建物について取得日から売却日までの減価の額を計算する。③譲渡所得の計算の基礎となる取得費の金額①土地…22,267,932円+②建物…5,143,372円=27,411,304円1998年(平成10年) 木造:158,600円(1㎡あたり)158,600円×80㎡=12,688,000円 1998年(平成10年)7月~2012年(平成24年)2月 13年7ヶ月→14年※12,688,000円×0.9×0.031(33年)×14年=4,955,932円2012年(平成24年)2月~2024年(令和6年)6月 12年4ヶ月→12年※ 7,732,068円×0.9×0.031(33年)×12年=2,588,696円7,732,068円-2,588,696円=5,143,372円 譲渡所得の計算方法※経過年数6ヶ月以上の端数は1年とし、6ヶ月未満は切り捨てます。12,688,000円-4,955,932円=7,732,068円 30,000,000円-7,732,068円=22,267,932円売却時の建物の取得費昔購入したマイホームを売却するが、購入時の契約書類を紛失してしまった。Q.20購入したときの書類がない場合、概算取得費(譲渡収入× 5%)により申告するしかない?A譲渡所得計算上の取得費は、実額計算か概算取得費(譲渡収入金額×5%)とされています。実額計算は購入時の契約書等により証明できます。しかし、契約書類等を紛失してしまった場合、すべて概算取得費(譲渡収入金額×5%)で計算するというわけでもありません。契約書以外の証明資料により、客観的にみて相当の根拠があると認められる場合は、実額計算で申告することができます。下記①〜⑧のような証明書類をできるだけ用意して、“購入の契約書類等を紛失した理由”“購入当時の状況”“証明書類等から取得費を計算した根拠”を記載した書面を税務署に提出します。その内容に信ぴょう性があると認められると、その申告は認められます。【証明資料】① 購入先、建築の請負業者に証明資料があればその資料② 分譲時の不動産業者の、価格が記載されているパンフレット等③ マンション等の管理組合に保存されている分譲時の資料④ 当該マンション・分譲地の類似物件を所有する者が持っている分譲時の契約書等⑤ 購入代金として支払った金額が記載されている通帳等⑥ 住宅ローンの入金、住宅ローンの支払いがある通帳等⑦ 住宅ローンの金銭消費貸借契約書、ローンの償還表等⑧ 乙欄に抵当権の設定金額(借入金の金額)の記載がある登記事項証明書 さらに土地・建物購入時の状況が以下のような条件を満たしている必要があります。ケーススタディ中古で購入した住宅を売却した場合の取得費の計算不動産を売却するときの税金

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る