令和6年度版 税金の手引
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1140購入1992年(平成4年)このように買換え特例を利用した場合、買い換えしたときの税金はなくても、その後その買換資産を売却した場合には当初の売却時に3,000万円特別控除を適用した方が有利な場合があります。買換え特例を選択する場合は買換資産を10年を超て所有するという長期的視野で税法上の適用を考えなければなりません。※1992年(平成4年)から2014年(平成26年)までの10年超所有軽減税率(注)税額計算は円単位で計算しますが、便宜上「1万円未満」を切捨てて計算しております。取得費の引継ぎ2014年(平成26年)に取得した自宅の取得費は、7,000万円ではなく、1992年(平成4年)の取得費2,000万円を引き継いでおり、これに1,000万円の自己資金を加えた3,000万円とみなされます。取得日はいつか?取得費2,000万円が引き継がれる一方で、取得日は引き継がれません。2014年(平成26年)に取得した自宅の取得日は2014年(平成26年)となります。売却2014年(平成26年)6,000万円本来課税される譲渡益4,000万円取得費2,000万円居住している自宅であるため3,000万円特別控除を利用することはできます。ただし、現在の自宅は2014年(平成26年)に取得したものであり、2024年(令和6年)に譲渡した場合は、譲渡した年の1月1日現在において10年超所有していないことになりますので、特定居住用財産の買換え特例や10年超所有軽減税率の特例は利用できません。なお、この自宅の譲渡所得計算上の取得費は、1992年(平成4年)に購入した従前の自宅の取得費2,000万円に自己資金1,000万円を加えた3,000万円となります。購入2014年(平成26年)7,000万円繰延べられた譲渡益4,000万円増加した取得費1,000万円引き継がれた2,000万円売却2024年(令和6年)売却代金取得費売却代金取得費売却代金取得費譲渡費用特別控除譲渡費用特別控除特別控除譲渡所得の計算方法譲渡益6,000万円取得費3,000万円ケーススタディ2,000万円計算のポイント①2014年(平成26年)買換え特例を適用した税額は0円②2024年(令和6年)3,000万円特別控除を適用した税額 9,000万円−(3,000万円+280万円)−3,000万円=2,720万円  (注)譲渡費用を280万円と想定③2014年(平成26年)と2024年(令和6年)の税額合計552万円です。特定居住用財産の買換え特例を受けて購入したマイホームを売却する場合の税額現在の自宅は、1992年(平成4年)に購入した従前の自宅(取得費2,000万円)を2014年(平成26年)に6,000万円で売却し、同年にその売却代金と自己資金1,000万円を合計した7,000万円で買い換えたものです。この時に特定居住用財産の買換え特例を利用しました。今般、この自宅について売却を検討しています(売却予定金額は9,000万円)が税金はどうなるでしょうか。2014年(平成26年)の時点で買換え特例を使わず購入していた場合の税額①2014年(平成26年)3,000万円特別控除を適用したと仮定した税額  6,000万円−2,000万円−3,000万円=1,000万円  (注)譲渡費用は考慮しない②2024年(令和6年)3,000万円特別控除を適用した税額  9,000万円−(7,000万円+280万円)−3,000万円=0円 税額=0円③2014年(平成26年)と2024年(令和6年)の税額合計140万円です。居住用財産の買換え特例のポイント●税額を求めます。所得税=2,720万円×15.315%=416万円住民税=2,720万円×   5%=136万円合計 552万円合計 552万円 ●税額を求めます。所得税=1,000万円×10%※=100万円住民税=1,000万円× 4%=40万円合計 140万円合計 140万円 不動産を売却するときの税金9,000万円

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